過去の地震から学ぶ、地震対策!

過去の地震から学ぶ、地震対策!

ここ最近、日本ではいろいろな場所で地震が発生しています。私たちは、過去に起きた地震から何を学び、どのように備えれば良いのでしょうか。

 

阪神淡路大震災から学ぶ「古い木造住宅の危険性」

1995年1月17日午前5時46分、兵庫県を中心に大地震が襲い、後に阪神淡路大震災と呼ばれるこの震災では6,000人以上の尊い命が失われました。しかし、その死因の83%が建物の倒壊による窒息死・圧死・ショック死であることはあまり知られていません。木造建築の出火が原因の焼死・やけどによる死亡は12%で、合わせて95%が建築の倒壊・火事によるものであり、木造建築が大地震に弱いことが証明されたことになります。とはいえ、倒壊した建築は1981年に新耐震基準が制定される前に完成していたものがほとんどで、新耐震基準によって建築された建物の倒壊率は10%以下ということもわかっています。

まとめると、地震によって倒壊した建物はそのほとんどが旧耐震基準によって建てられたものであり、新体制基準を守っている建物は安全ということで、古い木造住宅が危険であることがわかります。

そこで、古い住宅の耐震補強工事をして倒壊のリスクを軽減することで、地震対策になると考えられるようになりました。ちなみに、自治体によっては地震対策のためのリフォームに補助金を出している地域もありますので、ホームページなどでチェックしてみましょう。

 

熊本地震から学ぶ「備蓄の確保」

2018年4月には、大地震が起こる確率が非常に低いといわれていた熊本で震度7の本震が2回、そして複数回の余震が発生しました。本震だと思われていた地震が前震だったことも特徴で、余震でも震度6を超えるものが多く発生し、なかなか寝付けない日々が続きました。

さらに「震災関連死」も多く、避難生活によるストレスや持病の悪化などで亡くなる人も相次ぎました。また、この震災では、震源地となった熊本県以外にも大分県で3人が震災関連死として認定されており、震災後の生活がどれほど劣悪な環境だったかがわかります。

地震発生後3日を過ぎても、食料や生活必需品が全くといっていいほど行き渡らない避難所も多数ありました。このように、全く備蓄のない状況になってしまっては、健康を確保することは非常に困難です。避難所からは体力のない高齢者や幼児から感染症が蔓延し、病院へのSOSも相次ぎました。平常時からしっかり備蓄を確保しておくことが、どれだけ大事かがわかる地震となりました。

 

北海道胆振東部地震から学ぶ「軽い屋根の強度」

2018年9月6日午前3時過ぎ、北海道の胆振東部の深さ37kmでM6.7地震が発生しました。熊本地震と同じく、大地震を注意すべき地域ではない場所で発生したため、日本全国に衝撃が走りました。震度的にも、厚真町で震度7、安平町とむかわ町で震度6強の揺れが観測されるなど強力なもので、死者42人、全壊家屋462棟、半壊家屋1,570棟、一部損壊家屋12,600棟という犠牲・被害が発生しました。実はこの数、過去に震度7を記録した地震と比較すると、かなり少なくなっています。

これは、北海道の住宅の耐震性の高さが要因で、積雪が多い北海道では瓦屋根のような重い屋根はほとんどありませんので、おのずと耐震性が高くなっていたことが推測されます。北海道の住宅はスレートを使った軽い屋根が多く、また、夏は涼しく冬は寒い気候を考慮して窓が小さく壁が多い構造になっていることも要因のひとつに挙げられます。そして、冬季に土が凍ることもあるので、基礎が深く頑強な構造をしています。そして、首都圏や近畿圏と比較すると低層の建物が多く、住宅の構造的に地震には強い地域といえます。

では、どのような構造の住宅が地震に強いといわれているのでしょうか。

●木構造(W造/wood)

構造の主要な部分に木材を用いた構造で、軽量で加工しやすいというメリットがあるため多くの住宅で採用しています。

●鉄筋コンクリート構造(RC造/Reinforced Concrete)

「引っ張り力」に強い鉄筋と「圧縮力」に強いコンクリートを組み合わせることで、強度と耐久性を強化した構造になっています。

●鉄骨構造(S造/Steel)

鉄鋼材の柱と梁を工場で加工し、現場でつなぎ合わせていく工法です。部材を工場で加工することで、製品の安定感は抜群です。

このように見ると、木構造建築は地震に弱いように思うかもしれませんが、現実的にはどの構造でも同一条件においては地震に対する強さは一緒といわれています。その条件とは、建築基準法の新耐震基準を満たしていることです。しっかりとした構造計算を行い施工した住宅であれば、耐震性能がずっと保たれますので、大地震が来たとしても全壊するような大きな被害にはつながらないと考えられています。

また、もし地震による被害を受けた時の為に、地震保険に加入しておくことをおすすめします。地震保険は、建物の建て替えの補助的な役割を果たすだけでなく、被災後の生活を立て直すために必要な費用の補償に充てられることも多く、かけておいて損はない損害保険といえます。火災保険と比較すると保険金額は少なくなりますが、火災保険では地震・噴火・津波による被害は補償されないため、万が一の時のためにも地震保険に加入しておくことをおすすめします。