雹による被害も火災保険の対象になる?

雹による被害も火災保険の対象になる?

 

住宅にとって手ごわい自然災害といえば、「雹(ひょう)」が挙げられます。雹とは、直径5mm以上の氷の塊のことで、氷の粒が積乱雲の中で上昇・下降を繰り返し巨大化し、地面に落下してきます。

イメージ的に冬に被害が多くあると思われがちですが、実は雹の被害は5~6月や10月など春や秋に発生することがほとんどです。ゴルフボールから野球のボールほどの大きさの氷が高い空から落下してくるということは、住宅の屋根やカーポートに穴が開いてしまうほどの威力を持っています。このような被害が出てしまった時は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

 

雹が降る地域

 

雹が降る地域としては、北海道から東北の日本海沿岸域と北関東を中心とする内陸域が多くなっています。これらの地域の中でも、特に雹の被害が多いのが「福島の内陸域から北関東を通り長野・山梨に至る地域」で、逆に西日本は雷雨こそ多く発生しますが雹はほとんど降りません。

では、日本海沿岸域と内陸域に雹が降りやすいのはなぜでしょうか。雹が降りやすいのは5月・6月を中心に8月上旬までで、多くの作物の生育期にあたります。そのため、住宅だけでなく農作物が被害を受けるリスクも高く、茨城県における農業被害の発生件数で最も多いのは雹害となっている事実もあります。

 

雹による被害状況

 

雹は、雷雲の進行方向に細長い範囲に降ることが知られています。山地の場合は、雹を降らせる強い雷雲が長い距離を移動できなくなることから、雹による被害は局地的になります。しかし、関東平野で発生する雷雲は、産地が少なく発達しながら東~東南方向に長い距離を移動することになります。そのため、北関東では雹が広い範囲で雹が降ってしまいます。中には、平野内に長さ100km以上というとんでもない広範囲に渡って、雹が降る地域を形成することもあります。

 

特に大きな被害が出たのは茨城県取手市です。30人が負傷し、1万7千世帯で窓ガラス破損など建物の被害が出ました。雹が10cm近く積もった地域もあったのですが、近くの龍ケ崎市では雹の被害は報告されていません。10分間に7mmという強雨だけしか降りませんでした。もし、この雨が雹だったとしたら3~4cmほどの積雹に換算されることから、大きな被害が出ていたと想像されますが、地域によって大きな差が出るのも事実です。

このような雹害の対策としては、防雹網というものを使う方法があります。この防雹網は、果樹園やビニールハウスなど、雹による被害が想定される場所で活用されています。また、雹害の多いヨーロッパでは雷雲にヨウ化銀を詰めたロケットを打ち込んで、氷粒を雹の大きさにまで成長させないという方法で雹害が起こらないようにしています。日本における年間の降雹日数は多くても2日程度なので大々的な対策をしている地域は少ない(とはいえその2日間で大きな被害が起こる可能性はある)のですが、ヨーロッパや南アメリカでは降雹日数が100日近くにまで達する地域もあり、その対策は日本よりも進んでいるといえます。

 

雹の被害には加入している火災保険が使える?

 

では、雹による被害を無料で行う方法はあるのでしょうか。実は「住まいの総合保険」とも呼ばれる火災保険に加入していれば、火事の被害だけでなく、風や雪・雹などの自然災害も補償されます。つまり、正しい申請手続きを踏めば火災保険を活用して、雹の被害を無料で修理ができるというわけです。ちなみに、火災保険の補償の中で一番支払い保険金額が多いのは、この自然災害による被害の補償です。台風により屋根が壊れたり、雹によって窓ガラスが割れたり、大雪によってカーポートがつぶれたり…このような自然災害による様々な被害の工事費が、火災保険料で賄われています。

 

カーポートや屋外倉庫も補償対象

 

このように、風・雪・雹などの自然災害は住宅やカーポート・倉庫に大きな被害をもたらす可能性があります。特にカーポートや倉庫などは、住宅のように基礎がしっかりしないケースも多くありますし、屋根や支柱なども住宅ほど頑丈にはできていないものもあります。そのため、雪の重みや雹のスピードにより大きな被害が出てしまうリスクは高いものです。
先述の通り、カーポートや屋外倉庫も住宅の敷地内にある場合は火災保険の基本補償でカバーできます。まれに延床面積60平方メートルを超えるような大型の建物の場合は補償対象外になることがありますが、カーポートや物置レベルの小さな倉庫であれば、火災保険の補償の対象である「建物」の中に含まれます。

 

最近の日本の自然災害はどんどん強大化していますので、想定外の被害が発生するリスクは高まっていると考えられます。特に雹による被害の場合、屋根の工事は避けられません。屋根の工事は足場を組んで修理する必要があるので、簡単な修理でも100万円単位の金額になってしまうことは少なくないことから、リスクヘッジのためにも火災保険に加入しておくことをおすすめします。